個人事業主が株式会社になる事の意味は?

2014-01-15

我々のよくある質問として、個人事業主が会社になるメリット・デメリットは?ってよく質問されます。私のブログ以外にも、このことについては良く書かれてあるし、以前ここでも紹介しました。でも大半がメリットが全面出ていて、本当なのって?良く聞かれます。

確かにメリット多いから会社にしたい人が多いのですが、会社の形態・業種等によっては、デメリットの方が大きい場合もあります。ただ事業主としては顧客や金融機関への信頼、信用から、どうしても会社に移行したいと思われる方が、多いと思います。今日はデメリットに焦点を当てて書いてみます。独立開業しようと考えてる方、一度良く考えてみませんか?

個人事業から法人成りした場合のデメリット

法人成りをすると、個人事業主の頃には必要がなかった諸手続きも多くなります。また、節税対策を主目的に法人成りするケースが多いようですが、税目の違う税の発生、想定しない費用などが発生し、個人事業の方がよかったということもありえます。特に会社は会計基準による会計を行わなければなりませんから、これまで簡単に経費や接待費って考えていた費用がそうでなくなることも多くあります。また会計報告作成に費用が多くかかります。

人格の相違に注意

個人事業と法人では、人格が相違します。法人化する場合、個人事業は廃業し、法人という形で新たにスタートを切ることになります。つまり、経営主体の継続性がないことに留意すべきです。たとえば、許認可では、新たな取得、届け出などが必要となります。単に、商号や屋号の変更届ですまないのが一般です。また会社は登記義務を伴い、役員変更等々少しの機関変更に登記変更が伴い、そのたびに多くの費用が掛かります。

節税面でのメリット

個人事業の場合には、個人事業主の事業所得(事業で得た利益と考えてください)に対して所得税が課せられますが、わが国の所得税には「累進税率」が適用されています。規模の大きな個人事業には多くの税が課せられます。そのため、一般には法人の所得税の方が安く、税制面ではメリットが高いと言えます。つまり、多くの法人成りのケースでは、所得税で納税するよりも、法人税で納税する方が税金面での負担が軽くなると思って法人成りするケースが多いようです。しかし、これはあくまでも所得(つまり利益)が予想どおり多く出た場合に言えることであって、そうはならないケースもあり得ることを知っておくべきでしょう。いままで利益を出されていない個人企業家にとっては、利益を出さない限り、税制のメリットはありません。

個人事業主では発生しなかった費用と手間

前述の累進課税制度を考えて、税率が個人事業のケースよりも低くなることを想定して「法人成り」を考えるケースが多いのですが、法人化すると、税金面では個人の時には発生しなかった均等割りの法人住民税7万円(事業規模で変動有り)がかかりますし、個人事業主のときには必要がなかったさまざまな手続きなども多くなります。

たとえば、株式会社では、定時株主総会の終結後、遅滞なく「貸借対照表」を公告する義務があります(会社法第440条第1項)。官報で公告を行う場合、約6万円程度かかることになります。また、これを怠ると100万円以下の過料に処せられることになっています。このような公告は毎年となると、結構な手間にもなりますし、これに加えて、法人ならではの諸手続き、たとえば株式会社であれば、定時株主総会の開催と議事録の備えおき、さらには役員の改選などさまざまな事務手続きも多くなります。これらの諸手続きも中小企業者となると結構な負担に感じることも少なくありません。

法人となる場合、社会保険の強制適用事業所となることも検討しておきましょう。

以上のことから、会社の今後のあるべき姿、企業経営の方向性などを考慮して、法人化を検討すべきです。節税目的のみで法人化する場合、思ったほどに利益が出ないときには、「やっぱり個人事業主でいた方が手間はかからなかった」ということもあり得るのです。メリットと手間とのバランスなど、総合的に判断することが必要でしょう。

なによりも

一番の違いは個人企業は個人の物ですが、会社は会社の物で個人の物ではありません。これが日本人にとって一番理解されていない事です。社長がいなくなっても、翌日も会社は残ります。中小零細企業の社長さんは自分が死ねば会社がつぶれると思っていますが、社長はいなくても、会社は無くなりません。会社になればM&Aや乗っ取り、吸収合併等々、会社を奪われる可能性がある事を十分認識する必要性があります。個人事業主の代わりはできませんが、社長の代わりはいくらでもいるって事を考えておかなければなりません。会社は営利と継続する事を目的に作られるのであって、会社法の考え方は、社長の為には存在しない事を理解ください。

なお当事務所では来年の個人事業主の帳簿保存義務拡大に向けて、会計記帳サービスを始めました。ご興味ある方々は是非一度ご相談お待ちしてます。(会計記帳サービスはこちらへ)

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